2004年に見たライヴのベスト10(5位から1位)
5.リメンバー・シャクティ@ジャザ・ヴィエンヌ / Remember Shakti @ Jazz a Vienne
来週月曜に三年半ぶりに来日しますが、今回は完売だって。前回は空席あったのにね。ザキール中心にインド音楽が盛り上がってきてるのはとても嬉しいですよ。でも相変わらず日本ではインド音楽のCDが手に入りにくいし、情報もない。オレ以外に現役の音楽業界の人でインド音楽に興味ある人ほとんどいないみたいだしね。そうだよね。100枚CD買っても5枚当たりがないんだよ。そんな国の音楽聞くなら、ブラジルとかアフリカとかハズレ少ないほう聞いたほうがいいもんな。それにインド音楽詳しくなっても、たとえばライターなら、生活の糧とする雑誌記事などにはインド音楽を紹介するページなんかないもんな。まあそういうページを作ればいいことなんだけどね。
さてモロッコの帰りに寄ったフランスのリヨン郊外の田舎町ヴィエンヌで行われたリメンバー・シャクティ。当日公演前にザキールとシャンカールに会いに行くと、「今度の一月に日本に行くよ。知らなかった?」と軽く言われてしまった。フランスのTGVは日本の新幹線並に高いんですよ。パリ〜リヨン往復で27000円! わざわざ来たのに! まあそれでも年に三回もザキール及び同レベルのインド音楽家演奏が聞けるのは幸せの極致。
シュリニヴァースやセルヴァガネーシュはチェンナイの南インド古典音楽祭で何度も聞いてたし、ザキールも同じくだけど、今回はシャンカール・マハデヴァンの声の爽やかさ、上手さに驚かされた。さすがインド人10億人のトップスター歌手! 05年頭のインドでも彼のグループshankar ehsaan loyの03年のヒット曲「Kal Ho Naa Ho」をいまだにみんな歌ってたからね。オレも東京でよく歌ってるけど...。リメンバー・シャクティって恐るべき演奏能力の高さだけでなく、シャンカールみたいな人が入っている懐の広さも魅力なんだよね。インド古典の伝統、ジャズ・フュージョンのユニバーサルさ、ヒンディ・ポップスの親しみやすさまで入ってるから。そうそう、僕がDJでよく使う「プリティウーマン」のバングラカヴァーを歌ってるのもシャンカールだよ。
4.ムサフィール@アンベールのハミッド・カーンの家 / Musafir @ Hameed Khan's House in Amber
ムサフィールのリーダー、ハミッド・カーンとは三年前にドイツのハンブルグで会って取材したことがあり、その際に「次回はラージャスターンのアンベールに来い。象のタクシー乗り場があるから」と言われていて、それを確かめに04年一月に彼の家まで行ってきました。今年(05年一月)も4週間も彼の家に通い詰めてたから、もう家族ぐるみの付き合いみたいなもんになってるけど。ムサフィールはインドでは海賊版しか出回っていないし、海外のみの活動でインド本国ではほとんど活動していないので(メンバーがラージャスターン各地にバラバラに住んでいるため)、なかなかグループでは見ること出来ないんだけど、去年はちょうど春からのヨーロッパツアーのリハーサルのためハミッドの家に主要メンバーが集まっていて、スーフィーの詩人、口琴やパパング、カルタール(木製カスタネット)の若手奏者、頭の上で自転車の車輪を回すファキール(修行僧)、サーランギ奏者、カルベリヤー・ダンサー(ラッチョドロームにも出てくるジプシー系女性ダンサー)古典声楽歌手、そして別働隊のジャイプール・カワ・ブラス・バンドまで聞くことが出来た。ムサフィールのセカンドアルバム「バーサット」の内ジャケに写ってる山が背景の砂漠みたいな所はハミッドの家の裏庭です。今年は年末年始でメンバーも各自仕事があったようで、滞在中最後の一週間にあったフェスティバルで数名メンバーが出ていたくらい。去年はラッキーでした。数年前日本に来たグループ、マハラジャはムサフィールとは別のグループです。ムサフィールは今日本で見たいグループの一つです。プランクトンさん、ジプシーサマーで呼んでもらいたいですよ。
3.グナワフェスティバル@エッサウィーラ / Festival d'Essaouira Gnaoua Musique du Monde 7eme edition
04年で7回目となったモロッコの生トランス音楽グナワのフェスティバル。モロッコの大西洋岸の町エッサウィーラで4日間に渡って行われ、地元グナワから海外で活躍するロックやジャズ、ヒップホップの入った若手グナワ、それにジャズやワールド系のアーティストも多数参加。しかも全て無料。これは太っ腹。ムサフィールやグナワ・ディフュージョンも過去に出演してます。04年のトリは何故かウェイラーズ? まあレゲエはジャマイカのグナワだからな。大会場だけでなく夜中過ぎから始まる小会場での地元グナワのリラ(オールナイトの儀式)も見てる人が次々にトランスに入っちゃってスゴイよ。エッサウィーラの町の瀟洒な雰囲気や地元に根付いていながらもワールドワイドな可能性も秘めたグナワの音楽性含めて楽しめます。ただ夏だからエアチケット高いんだよね。エールフランスだと18万くらいする。エミレーツでドバイ経由なら12万。でも帰りにパリで生牡蠣食いたいもんな。僕たちは中華国際航空で行ったけど、安かろう悪かろうです。マレーシア航空で帰りにパリとクアラルンプールに寄って海鮮三昧ってのが最高でしょう。エッサウィーラも海鮮の町だし。今年は弦楽器繋がりで0KIさんに出てもらいたいですよ。
2.ハッサン・ハクムーンのオールナイト・グナワ・パーティー@マラケシュの彼の実家 / Gnawa Lila at Hassan Hakmoon's House in Marrakech
マラケシュに着いた翌日町を歩いていたら、ハッサン・ハクムーンのビデオ・クルーに偶然会い、彼の家のパーティーに招待された。ハッサンは「trance」以降中途半端に西洋ロック化した作品が続いているが、完全アコースティックのグナワ一晩中ライヴはさすがにグナワのマーレム(頭領)としての実力を発揮していた。ゲンブリを弾き、歌声を張り上げ、大太鼓を肩からグルグル回し、夕方4時から翌朝5時までご近所さんとともにトランス・ダンスを続けた。グナワだけでなくエサワやラーバットといった今まで全く知らなかった別の宗教音楽隊も聞けた。
全てビデオに収めてあるけど、アップリンクの「エキゾ夢紀行」で一回使っただけなので、どこかでまた上映会しようかな。興味ある方はご一報下さい。この日は朝までいて、おいとましたけど、後で聞いたら三日間続けて朝までコースだったらしい。
1.シブクマール・シャルマ&ザキール・フセイン@カルカッタ / Shivkumar Sharma & Zakir Hussain @ Culcatta
ザキールは去年1月のカルカッタでシブクマールとのインド古典ジャガルバンディ、7月にフランスのヴィエンヌでリメンバー・シャクティ、9月に秩父のトゥルー・ピープルズ・セレブレーションでタブラ・ビート・サイエンスと三回見たけど、カルカッタでの古典公演が一番良かったな。フランスのシャクティはいかにもヨーロッパのジャズ・フェスティバル向けのフュージョンがかったエンターテインメントな演奏で、ちょっと派手過ぎた。もちろん悪いわけないんだけど。トゥルー・ピープルズ・セレブレーションは時間が50分と短すぎた。フェスティバルという都合上仕方なかったとはいえ、あれだけのメンバー揃ってるのにもったいない! 三年前にベイルートで見た時は三時間以上やってくれたからどうしても比べてしまう。終了後ザキールはにこやかだったし。カルカッタは聴衆も耳が肥えてるから手を抜くわけいかないんだろう。インド古典一番人気のこのデュオは午前2時スタート。シブクマールのサントゥールのなで回すような倍音攻撃でうとうとしてると、ザキールのタブラでたたき起こされる。これの繰り返し。完全な夢幻宇宙ですよ。終了後横にいたu-zhaanが一言「役者が違う!」と。一時間1ラーガに全身全霊が籠もっていて、終了後に楽屋行ったら、めずらしくザキールが憔悴しきってて、「ストロボ使わないで!」なんて言ってた。インド古典はインドで、特に文化都市カルカッタで観るのが一番いいみたい。
なんか海外で見たものばかりになってしまったけど、ライヴでもDJでもそうだけど音楽って個人的な体験だから。なので許して下さい! というかこのサイト見てる方はそれぞれに自分内ベスト10があるはずだから、逆にオレが体験してない羨ましいライヴをご教授下さい! この他にはAlexander Robotnik@代官山Unit、raw life(今年もよろしく!)も最高だった。(それに手前みそですが、僕とGIOのDJパーティーOrient Express Special@青山CAY、Orient Express in 仙台も予想外の大成功、見たライヴじゃないけど楽しかったよ)
今から郡山にDJで出かけま〜す。お近くの方、今晩会いましょう!
by salamunagami | 2005-01-29 12:51 | エキゾ音楽