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3.2. Fri. Alone in Lahore

3.2. Fri. Alone in Lahore_c0008520_12523273.jpg3月2日金曜
GPOとホテル缶詰原稿書き

朝方になって、妻の風邪が本格化して全身が痛いと言い出す。大丈夫だよ、それは筋肉痛だって! 8時過ぎに今度はお風呂のお湯が出ない。ボーイを呼び出し、一時間かけてお湯が出るようにしてもらう。僕はその間に日記と原稿書き。朝食を済ませ、午前10時に妻が買った服を着て屋上の日陰でパキスタニー・ファッション撮影会を行うと、ボーイ達が珍しそうに寄ってくる。
3.2. Fri. Alone in Lahore_c0008520_12524367.jpg11時までに日本に送りたい荷物をまとめ、近くの本屋でガムテープを買い、リキシャに乗ってGPOに向かう。GPOはホテルから数百メートルの距離だ。入り口の炎天下に陣取っている野外パーセルワーラー(白い布と段ポールで梱包してくれる係)に荷物を渡すと、荷物をちょうどいい塩梅に配分して梱包を始めてくれる。しかし午前中の業務が11時半までだったらしく、荷物は詰め終わったものの、郵便局の受付には間に合わず、午後2時過ぎに出直せと言われる。そのまま荷物をパーセルワーラーのオッサンに預け、ゆりこと村山先生はフォートレスプラザに最後の買い物に出かける。僕はホテルに戻り、たまっていた日記と原稿を書くことにする。
 ホテルに戻ると、部屋掃除はされていないが、まあ一泊くらい問題はない。それよりも腹が減ったので、ルームサービスで一人チキンビリヤニを頼む。200ルピーで、僕が望んでいた炊き込みビリヤニではなく、チキンカレーを長粒米にあえただけのものだったが、量が大量すぎて驚く。半分食べればちょうど良いくらいなのに半分以上食べてしまって、腹いっぱいだ。
 給仕のボーイ、ハッサン・ラザル君はアマチュアの歌手らしく、古典、軽古典、パンジャーブ民謡、カウワーリーなんでも歌えると言う。前日にゆりこが寄ったショール屋のアニキもそうだったが、僕達の周りにはなぜか音楽家が近づいてくる。お皿を受け取りに来たとき、50円ほどチップを渡し、「次回は歌ってみてよ」とヒンディー語で言うと、「今ここで歌うよ、何が聞きたい?」と言うので、古典と答えるとその場で、ガザルのような歌を歌い出した。村山先生にヒンディー語を1年半習っているので、歌詞全部の意味はわからなくとも聞き取れるフレーズが多くて、何を歌っているかくらいはわかる。勉強しておいて良かった。
 古典に続いて、フォーク、そしてヌスラットで有名な「マスト・マスト」をフルコーラス歌ってくれた。もちろんビデオに撮らせてもらった。帰り際に「ナイス・ミーティング」と言って帰って言った。パキスタンにいながら音楽で食うのは本当に難しいだろうが、趣味で古典声楽を学んでいる人は今もいるのだ。
 午後2時35分、やっと日記が現実に追いついた。ではここまでを写真とともにブログにアップし、たまっていた原稿を終わらせよう。編集者の皆さんご心配をおかけしました。まもなく入稿致します。
 ブログをアップし始めるが、回線が遅いため一つの記事につき15分くらいかかる。その間に風呂の湯をためるが、こちらもなかなか熱い湯が出ない。なんとか風呂をため、湯につかると電話が鳴り始めた。ゆりこと村山先生が帰ってきたようだ。
 ゆりこに聞くと、郵便は送れたが、フォートレスプラザではパキスタンルピーがなく、何一つ買えずに帰ってきたと言う。両替所は閉まり、米ドルも日本円も受け取らず、クレジットカードもドメスティックしか受け付けない。クレジットカードって元々インターナショナルに安全な買い物をするために作られたものなのに、ドメスティック・カードしか使えないってなんだよ? 支離滅裂じゃん! しかもそこまでの道筋に二度のパスポートチェックがあったという。そして夕方からはスタジアムで何かの試合があるため、女性一人の外出は危険かもしれないとのこと。僕はまだ原稿書き中なので、着いては行けないから、ゆりこの買い物も残念ながらここまでだ。これで打ち止め。この国では、まだ旅は一期一会ということなのだ。欲しいものは見つけた時に2個でも3個でも買っておかねばダメだ。
 そういえば「旅は一期一会」「オレの旅の主役はオレ」「約束は破り破られるモノ、最初から約束するな」「出来るだけ慇懃無礼な態度で旅をしろ」「No! I'm NOT Your Friend」とは僕の6年前の本「プラネットインディア インド・エキゾ音楽紀行」の巻末「サラーム流インド旅行術」にある。
 仕事が終わらない僕を置いて、ゆりこと村山先生はJICAの大橋さんとアービッドさんの車に乗って、郊外の聖者廟に出かけていった。僕は相変わらず日本に向かって音楽を聴き、原稿を書き進める。午後5時45分すぎ、夕暮れのアザーンが窓の外から流れてきた。
 原稿仕事を進め、メールにて入稿すると、夜の8時前、ゆりこから電話を受け、一行は近郊の聖者廟の村で歓待を受け、戻りは9時過ぎになるだろうとのこと。それまで一寝入りしていよう。
3.2. Fri. Alone in Lahore_c0008520_12523795.jpg夜10時前にゆりこたちが戻ってきたので、大橋さんの車に乗り、夕食に出かける。その前にまず、ゆりこの買い物のためフォートレスプラザに戻る。こちらは一台の車に7人が乗っているのだが、チェックポイントは素通りできた。そしてプラザの駐車場は夜10時過ぎにもかかわらずゲキ混みだった。パキスタン人は夜行性とはわかってきたが、お店もこんな遅くに混みだすのか?日本じゃこんな時間までショッピングセンターが開いていたのは90年代のバブル期の頃だけで、今では放射能まみれの早寝早起き健康志向が徹底してるのに。しかも日本車や韓国車など新しめの車ばかりが並んでいる。なんだ、昼間チェックポイントで検問を受けたのはオートリキシャなんて貧乏臭いものに乗って乗り付けたせいだったのか。タクシーさえきちんとチャーターすれば検問所はスルー出来たのだ。リキシャに外国人が乗っているから怪しいと思われたのだろう。
 夜のショッピングモールでは女性たちが買い物のため活発に動いている。ゆりこが色々と試着している間に次々に地元の中産階級家族がお店に入り、出ていった。
 四着買い物をすませ、車に乗り夕飯へ。今夜はフォートレスの近くにあるペシャーワル料理店へ。広いお店の中は編み上げ簡易ベッドが並び、白いプラスティックの低いテープルが並んでいる。街道沿いのトラック運ちゃん用の食堂兼宿泊スペースであるダーバーをそのまま再現しているのだ。真ん中に仕切りがあり、ファミリー席と野郎席が完全に分けられている。ぼくたちはファミリー席。隣のテーブルには美人姉妹、反対側にも全身ブルカの女性たちが座っていた。村山先生とアービッドさんはこのダーバー仕様にたいへんくつろいでいて、膝を合わせながら、なにやらスーフィーの詩について談義を始めた。メニューはなく、アービッドさんが頼んでくれた。
3.2. Fri. Alone in Lahore_c0008520_12524336.jpgまず1kgほどの羊のバーベキュー。先日フードストリートでいただいたのと同じタイプで、マサラにつけ込み、炭火で焼いたもの。そして鶏のBBQには青唐辛子の輪切りが添えられている。こちらもジビエの鴨なみに味が濃い。そしてメインディッシュはドンバ羊というお尻に脂肪がたまる特別な羊を使ったカラヒー。巨大な金属の鍋でグツグツと炒め煮にしたものだ。運ばれてきた器自体がそのカラヒーという鍋である。中には1.5kgの羊肉。これが猛烈にかみ応えのある羊肉。ナーンもものすごく分厚くて粉の味がするアフガンスタイルだ。最初から最後まで肉づくし、野菜はちょっとサラダが付いただけ。それなのに大満足だ。アフガン料理、日本にないかなあ? あったとしてもこんな大量の肉は出てこないよなあ。あっ、東中野のパオはペシャーワル料理なかなか美味しいですよ。22日のバダル・アリー・ハーンの公演後は一階のパオで夕飯でしょう!
3.2. Fri. Alone in Lahore_c0008520_12543618.jpg食後はカルダモンを使った緑茶、砂糖も入っていて、レモンをちょっと絞っていただく。これもインドに行くと見たことないアフガンスタイルのお茶だ。腹いっぱい食べると12時過ぎ。周りのテーブルでは今頃食べ始めた家族も多い。こんな夜中に肉だけ食べてれば太るぞ~!
 ホテルまで送ってもらい、大橋さん、アービッドさんと別れ、部屋に戻り、就寝。

by salamunagami | 2012-03-06 12:55 | エキゾ旅行  

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