「21世紀中東音楽ジャーナル」著者から、読者の皆さんへのお願いです
2/8水曜に朝日カルチャーセンター新宿で開催いたしました「ワールド音楽入門」講座、満員御礼ありがとうございました! 春からの通年講座に先だってのプレオープン回、そして僕の新刊「21世紀中東音楽ジャーナル」を元にした中東音楽の概要回でした。昨年まで四年間続けて来た和光大学ぱいでいあからの受講生の方も20名近くいらしていたのですが、それにしても新規の方が30名も来ていただいて、新宿という場所の利と、中東音楽への興味の高まり、両方ともが上手く合致して、今回の大入りとなりました。ありがとうございました。
本の宣伝や春からの講座の宣伝に終わらないために、内容は詰め込めるだけ詰め込みました。中東概要、中東とイスラーム教、一枚板ではない中東の歴史、そして政教分離したトルコ共和国の音楽、イスラーム革命前のイランの歌謡曲、アラブの辺境モロッコのトランス音楽グナワ、中世のアラブ辺境が残るイエメンの古典歌曲、そしてエジプトのドローカル音楽、最後に中東音楽におけるこの10年間、と、ここに書いただけでアップアップだったことがわかると思います。そのため説明不足だったところも沢山あると思います。それは僕の本や4月からの講座や、他の機会にお話しして行ければと思っています。
そして、工場からできたてほやほやの「21世紀中東音楽ジャーナル」は30冊だけ先に届きました。それもその場で売り切れました。買っていただいた皆様本当にありがとうございます。お求めいただけなかった方は申し訳ありませんが、一般発売の来週16日までお待ち下さいませ。
僕も会場に着いて初めて現物を見ました。本を出すのはこれが4回目ですが(寡作ですねえ、トロいですねえ、人生なんて短いのに! しかし次の本は今年の終わりにはなんとか形にします!)毎回、出来上がった本を見るのは嬉しい瞬間です。しかも開けたら中がピンク色でした。編集の須川善行さんには常々「ピンク」「ピンクにして」ともらしてきたので、僕の知らないうちにピンクにしてくれていたようです。ありがとう!
さて、一般発売は来週木曜16日です。買っていただけたらとてもうれしいです。読んで、楽しんでいただけたらなら、なおうれしいです。そして、お時間許す方は、AMAZONの書評を是非書いてやって下さい! amazon に書くのが面倒という方もfacebookやtwitterやblogなどで是非感想をアップしてやって下さい。書いていただければ著者としては最高にうれしいです! というのも読者の方のそうしたアクションが、また新たな読者をもたらしてくれる、そう思うからです。
出来上がってしまった今となってはこうして楽しげな事だけを書いていますが、実はこの本を出せるまでに随分長い時間がかかっています。編集者の須川さんと企画を立ち上げたのが2007年。それからしばらくの間、「中東音楽」というネタは「前例がない」、「マニアック過ぎる」と何社にもダメ出しをくらいました。
でも、僕としては「前例がある」ことを僕が書いても仕方ないと思うんですよ。それに、僕はその「前例がない」「マニアック過ぎる」音楽についての原稿を書いて読者に喜ばれ、ラジオで喋って、知らない方から励ましのtwをいただき、講義をやって受講生たちに喜んでもらえて、DJをやって、ベリーダンサーやボリウッド好きたちが朝まで楽しんでくれます。逆に「前例があり、みんなが聞いている」音楽について僕が何か書いたって、そんなの面白いわけがない。つーか、そんなもの最初から書きたいと思わないかも。
物価の高いイスタンブールに4週間も滞在して、毎日毎晩ライブハウスで音楽聞き歩くのだって、音楽家なんて職業がほぼ存在しないイエメンに行って、高山病に苦しみながらも音楽家を探して周るのだって、全部、自分がどうしてもやりたかったからやったのであって、そこには「前例云々」や「マニアック過ぎる云々」、「みんなが聞いている、聞いてない」なんて一切関係ないわけです。僕がこれだけ面白いと思っているから、追いかけるし、大枚はたくことが出来る。それだけ面白いと思えるものだから、それを文章にしたり、喋ったり、DJでプレイしたりすれば、必ず面白がってくれる人もいるはず。つ〜か、実際少なからず面白がってくれた人がいたから僕はこれまで十二年もフリーのライターで食えてたわけで。
しかし、これだけCDも本も売れない時代になると、本を出した所で初回の印刷数が半減しているので、印税は9年前に最初の本を出した時の半分以下になっちゃうんです。バレンタインデイの義理チョコが減ったのと同じで、義理や体面や世間体(要は「どうでもいいもの」)に対しては財布の口が開かなくなったということでしょう。
「だから、買ってくれ〜! 」とお涙頂戴のお願いを書いているのではなく、今回は、「届くべき人に届かない」ということを最小限におさえたいんです。これまで、「サラームさん、そんな面白そうな本を出していたの今まで全然知りませんでした〜! 知っていたら買ってたのに〜!」、「もっと以前から知っていたら!」というロスがあまりにも多すぎたんです。僕はブログやネット、ラジオなどでそれなりにプロモーション活動も行ってきたつもりだけど、それでもそういう潜在層に全然届いていなかった。
僕の前著「プラネットインディア〜インド・エキゾ音楽紀行」(河出書房新社)は、読まれた方々から沢山の嬉しいお言葉をいただきました。それに僕自身が自慢出来る内容です。何と言っても2006年の時点でインド映画音楽(ボリウッド)とインドの古典音楽や民謡について、俯瞰した書籍を書けたんですから。それまでの5年間のインド取材をまがりなりにも一つの本として起承転結きれいにまとめたんですから。当時は、音楽ライターでインド音楽に興味を持って、自力で取材していた人は………いや、今更こんな自慢しても仕方ないな。ブラジル音楽、レゲエ、キューバ音楽、シャンソン、デトロイトテクノなどに大枚はたいて、全てつぎ込んで、素晴らしい著作や作品を残した先輩ライターたちも沢山いるわけだし。
話を戻すと、僕の「プラネットインディア〜インド・エキゾ音楽紀行」はコアなインド音楽好きには届いたとしても、潜在的なインド文化好きの所にまでは全然届かなかったと思います。そのせいで、「前例がない」、「マニアックすぎる」という、僕のような存在を100%否定してかかる「負の公式」がそのまま当てはまってしまった。
今回の「21世紀中東音楽ジャーナル」も、「中東」で「音楽」で「ジャーナル」ですよ。全然窓口が広くない。いきなりハードルが高い。しかし、僕は、「前例がない」、「マニアックすぎる」という、俳句の季語や定例文みたいな誰でも言える簡単な表現に押しつぶされるのは、これまでの三冊で正直言ってもうウンザリなんです。
じゃあ、それを阻止するために何をやればいいのか?という解答は正直わかりません。前著同様に、個人で出来る範囲のプロモーションをするしかないでしょう。しかし、6年前と比べて、個人でできるプロモーションの幅は広がりました。6年前はウェブとブログ、マスメディアしかなかったけれど、今ではソーシャルメディアが強い影響力を持つようになった。なので、僕はこうして仕事の終わった後の夜中過ぎにつれづれにブログを書き殴っているのですが(これもプロモーション活動?)。でも、僕一人の力ではできることが本当に限られているので、皆さんの力をお借りしたいのです。
どうか「21世紀中東音楽ジャーナル」を買ってくれた皆さん、一言でも二言でも良いので、感想をまめにtwitterでつぶやいて下さい。ブログで是非紹介して下さい。amazonのカスタマーレビューを書いて下さい。facebookで「いいね!」ボタンを押して下さい。アフィリエイトに組み込んで下さい。
それで何かが変わるのか、変わらないのか、僕の本が突如バカバカと売れちゃうのか、それとも相変わらず売れないのか、わかりません。しかし、この小さな実験に少しだけでもご協力下さい。
お涙頂戴で言うなら
「著者として一人でも多く、届くべき人の所に届いて欲しいんです」
もっとブッチャケて言うと、協力いただいた読者の皆さんにも見返りがあります。
「本が売れて、僕のところにたっぷりお金が入ってきたら、そのお金は次の本、そのまた次の本に必ず活かして、読者の皆さんに必ず還元致します!」
そんなわけで、丑三つ時ですが、なにとぞよろしくお願いします!
21世紀中東音楽ジャーナル発売は2月16日です!
by salamunagami | 2012-02-10 02:48 | 21世紀中東音楽ジャーナル

