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Egypte 05, Opera House & Life in Zamarek

c0008520_17362563.jpg今日は宿を移る。朝飯の後は日記を書いて、荷物をまとめる。さすがに今回の旅は移動ばかりだったので、スーツケースを閉じるまで一時間程度だった。お昼12時にチェックアウトし、宿の番頭ハレッドとナディーンに荷物を預かってもらい、近くのコシャリ屋へ行く。三日連続でコシャリだ。日本のラーメンと似たオトコメシ感覚で、色々な店を試したくなる味なのだ。完全なオトコメシだが、妻も嫌がらない所を見ると日本人には落ち着く味ということか。今日はLUXという店。大中小があり、それぞれ6、5、4LE=90円、75円、60円だ。僕は5、妻は4のを頼む。初日に行ったタハリールが水分少なめでボソボソなのに対し、こちらは少々水分が多い。ベチョベチョしてる。と書くとあまり美味くなさそうだが、これがなかなかイケル。昼飯にコシャリ探訪続けてみよう。

c0008520_17371186.jpg宿に戻り、ナディーンにお茶をいただき、カイロの別の面を見たいので、中州ザマレクの宿に移ると言うと、ザマレクはホテル・ロンシャン?と聞かれた。その通りです。ロンシャンはやはりTripadvisor上位なので、二年前に予定していたエジプト旅行にも予約していたが、その時は突然のキャンセルにも親切に対応してくれた。そこで今回こそは泊まりたいと思っていった。しかし、予約を今月になってモロッコの砂漠で行ったので、残念ながらこちらの希望の日程は空いていなかったのだが。
今回の旅はTripadvisorで宿を吟味し、booking.comで予約し、現地携帯に住所や電話番号のSMSを送ってもらい、タクシー運ちゃんに携帯を渡して連れて行ってもらう、その繰り返しだ。

c0008520_17375751.jpgハレッドとナディーンに別れを告げ、路上タクシーを拾い、ホテル・ロンシャンへ。ザマレクの7月26日通りは下町とは全く異なるオシャレな町並みが続く。酒屋、スーパー、ピザ屋、本屋などが並んでいる。カフェや中華料理の並ぶ瀟洒な一角でタクシーを降り、エレベーターで5階へ登る。ホテル・ロンシャンへ。レセプションの女性ガブはドイツ人特有の英語発音の女性だ。フランス人宿から今度はドイツ人宿? 一回り良い部屋はちょっと僕達の予算オーバーしているが、部屋を見たら納得。先ほどまでの宿と差額は15ドルだが、まったくの別次元の宿だった。部屋は十分に広く、風呂もシャワーブースも別々だ。照明は一段引っ込んだ天井に二重に設置され、とても明るい。ベッドもオットマンもビビッドな色合いで、机もイスもソファも冷蔵庫もある。ACコンセントも6カ所もある。これは快適。部屋から出たくなくなるよ。
タクシーの窓から見た本屋DIWAANまで歩いて出かける。ガブにはもっと近くにアメリカン大学の本屋があって、そこも在庫がいいわよ、と言われたが、DIWAANの横に酒屋とスーパーマーケットも見かけたのだ。裏道を歩いて5分でメイン通りに出る。7月26日通りを西に歩くと、ディワーンまで更に7分ほどか。ディワーンにはCD売り場もあると国際交流基金のSさんに聞いていたので、僕はCD売り場に直行。アムル・ディアーブなどのポップ「シャバービー」が一面、ウンム・クルスームが一面、他のハリム・ファーフェズやアブデルワッハブなど古典歌謡が一面、ジャズやムード音楽が一面、欧米のポップが一面並んでいる。アムル・ディアーブやアンガーム、タミール・ホスニーなどと、レバノンのレーベルFWDのオルタナ系をまとめて買う。ついでに「MUSIC & MEDIA IN THE ARAB WORLD」という英語の本も買う。20世紀初頭の蝋管レコードから現在のMP3全盛時代に至るまでのアラブ音楽の動向を十数名の研究者が共同執筆している。
宿に戻る途中、酒屋でエジプトワインと、なかなかイケるステラビールを買う。宿の冷蔵庫に入れておこう。

c0008520_17385058.jpg宿に戻り、一休みし、夕方6時に再びディワーンで国際交流基金のSさんと待ち合わせ。今夜はザマレクのオペラハウス大ホールにて「FI HOBB ALLAH」という音楽公演へ。その前にディワーンの路地を一歩入った所にあるアブ・エル・シドというレストランへ。入り口の真っ黒な巨大扉を開けると、中に真っ暗なサロンが広がっていた。ウェイターに「予約がないなら、7時半までしか席はないが、それでも良いか」と聞かれる。カイロはレストランの数が少なすぎるので、ここも予約が取れないことで有名なレストランらしい。でもこうしてエジプト人の行かない早い時間に行けば、なんとか滑り込めるらしい。
前菜盛り合わせと、エビのタジン、モロヘイヤの煮込みとウサギのグリル、そしてブドウの葉のマハシーを頼む。前菜盛り合わせ(盛り合わせと言っても、フルサイズの単品が四種も並ぶ)はターメイヤ、タヒーナ、ラブナー、マハシー。そこに更に単品で頼んだマハシーがゴロっと一皿付いてきた。なんだ前菜のセットに付いてくるなら、そう言ってくれれば良いのにと言うと、Sさん曰く「こちらの方は”サービスとは何か?”という考えが違いますからね。仕方ないです」とのこと。三年住んでらっしゃる方がそういうのだから、そういうものなのだろう。そこに続いてエビのタジン。エジプト方言ではJの音はGになるのでターゲンと言うようだ。もちろん土鍋煮込みのことだ。エビをトマトソースで煮込み、なんとたっぷりのご飯が沈んでいた。これは美味い。エビトマトご飯である。そしてもう一つのメインはウサギのグリルとご飯が添えられたモロヘイヤスープ。こちらもどろっとしたモロヘイヤが濃厚だ。モロヘイヤの量が半端無く、日本で飲んでいるモロヘイヤスープとは全くの別物だ。ご飯とウサギ肉の上にたっぷりかけていただく。これだけしか頼んでいないのに量は四人分はありそう。もちろん完食できず、終了。食後はトルココーヒーを頼むとトルコのチャイグラスに注がれてきた。トルコでは通常のデミタスなのに、所変われば品変わるのだ。

c0008520_17393831.jpg7時半にオベラハウスへ。実はオベラハウス大ホールはネクタイ着用が必至で、僕はさすがにネクタイまで持ってきていなかったが、Sさんが気を利かせてくれ、僕のために1セット持ってきてくれていた。車の中で服を着替え、10分かからずにオベラハウスに到着。オベラハウスというくらいだから、開演前のホールは中流階級以上のいわゆる社交場である。僕達は50LE=750円の良い席を買っていたので、前から6列目でステージがよく見える。
「FI HOBB ALLAH=神の愛の中に」はスーフィー、コプト教、キリスト教(ドイツの合唱隊)音楽の共同コンサート。先日アレキサンドリアでコプト教に対する自爆テロが起こった。もちろんこのコンサートはそれ以前から企画されていたが、その直後のタイミングでカイロやアレキサンドリアで、こうした三つの宗教の音楽的対話が行われるのは素晴らしい。開演前にエジプト人とハンガリー人のピアノデュオ、ホルス・アンサンブルのエジプト人ピアニストが中心となり、テロの犠牲者に対しての一分間の黙祷を行った。
第一部はホルス・アンサンブルによるバッハと、ドイツ・ケルンから来た合唱隊によるブラームス。なんでエジプトまで来て、こんな音楽聞いてるんだろう。ここまでで40分ほど、ハイソなエジプト人達も、ここまでで飽きてしまい席を立った人も多かった。
第二部はスーフィーのアンサンブル。こちらは僕が以前から見たかったスーフィーのヴォーカルを中心とした伝統的なスタイル。しかし、ウード奏者はなんとドイツ人だった。スーフィーの音楽は西洋クラシックのように座って聞くものではなく、手拍子叩いて、頭を振って聞きたい。演奏家達も全くの無音で聞かれてもどう対応したら良いかわからないようで、妙に場違いな感じ。次はエジプトのコプト教徒の音楽家達によるコプト音楽。カーヌーンとウードを中核に、コーラスやダブルベースなどの編成。こちらは演奏は上手いが、情熱大陸系というか。商業的に成功してるつまらないインスト音楽家は世界中どこでも一緒だなあ。全員がスーツでエジプト人というよりレバノン人のように見えた。
アレキサンドリアの事件と、先日のチュニジアの事件が重なり、カイロの街角には至る所に警察官が立っている。おかげで真夜中でも道が聞けて安心なのだが、このコンサート会場も例外ではなく、警察官達が無線を持って交信し合っていた。一部のドイツの合唱隊の時はさすがにホール内では無線交信を抑え、時々どうしても鳴ってしまい、そのたびに客席から「シー!」とクレームが入っていたが、二部のエジプト音楽の時は、なぜか無線交信をばりばり交わしても、誰もクレームを入れなかった。想像するに、スーフィー音楽もコプト音楽も町の騒音の中で演奏されるものであって、そこに無線の雑音が入っても、聞いている側も、それが何? という感じなのだろう。

c0008520_17411432.jpgそして休憩を挟んで第三部、今日のメインである三者の共演である。ドイツの合唱隊が不協和音とミニマル音楽的なポリリズムを駆使して「アッラー・アクバル」「アナ・フィー・ホブ・アッラー」と繰り返すが、おどろおどろしすぎてチベット仏教のお経に聞こえる。クラシックの音楽家が異教をテーマにするとどうしてこうおどろおどろしく作ってしまうのだろう? それこそキリスト教徒から見た訳のわからないものへの恐れ、みたいのを吐露してしまっているように思えるのだが。スーフィー音楽はヌスラット・ファテー・アリー・ハーンの例を見てもわかるように非常にストレートでわかりやすいものなのに。スーフィーのヴォーカリストは最後まで居場所が見つからずといった風情だったが、コプト教徒のアーバンガイ達はクラシックとも上手く折り合いを取っていた。最後はそれなりに盛り上がり、スタンディングオベーションとなった。僕としてはスーフィーのアンサンブルだけをじっくり聞きたかったが、在住のSさんでさえ彼らだけを何処で聞けるのか知らなかった。カイロのオベラハウスという特殊な世界を垣間見れた夜だった。帰りもSさんの車にホテルまで送ってもらい、11時に帰宅。
写真は今日買ったCD。デビュー当時、エジプト人歌手に珍しい清楚な美貌で、「エジプトの雛形あきこ」と呼ばれたアンガームもいつの間にかこんなフォトショップ美人に変身! 音はもちろんエレクトロです。

by salamunagami | 2011-01-24 17:30 | エキゾ旅行  

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