人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania

Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_7353832.jpg午前4時に日本からの電話で起こされたので、ついでに夜明けの砂漠の風景を見ようかと思ったが、とにかく寒いのでしばらく寝ている。再び時計を見るともう午前9時。バス移動は疲れたが、睡眠時間は普段以上に長かったかもしれない。
宿の周りを散策していると宿の若者メーディーに、朝食はサロンで用意しますと、話しかけられた。
サロンは円形のドーム状で、真ん中に暖炉があり、朝から薪が燃やされていた。モロッコパンのトーストとオレンジのマーマレード、イチゴのジャム、カフェオレ、オレンジジュース。昨日までの朝食と比べると随分質素だ。
Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_7363315.jpg女主人のフランソワーズに再会する。15年ですっかり老け込んでしまっている。インターネットを使いたいのだけどと聞くと、「wifiは嫌いなの。ここは砂漠でそういうものから逃れて、ノマドのように滞在したいからここに来るのでは。地元の人達もwifiに頼ってばかりで、人は結果のことを考えずに行動しすぎよ」との返事。
フェズのヴァンサンとクリストフに聞いたのだが、フランソワーズは2007年に起きた突然の川の氾濫で以前の建物と家財一式を全て流され、夫ジェラールまで失ってしまい、その後一人でここまで再建させたとのこと。何が彼女にそこまでさせるのだろうか?

Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_7365983.jpg朝食後、宿の裏を見ると遠くにメルズーガの大砂丘が見える。曇りがちの空なのでそれほど気温が高くない。今のうちに一度砂丘を登ってみようか、何も荷物を持たずに普段の服装のまま砂丘に向かう。15年前は片道一時間で一番上まで登れた。あの時は宿の飼い犬が案内してくれたのだ。砂の上に残る足跡に沿って歩いていくが、一時間登ってもまだ頂上が見えない。急角度の砂丘に何度かトライするが、息が切れてしまう。15年前とは体力が違うということか。それとも登頂路を間違ったのか。喉も渇いたし、お腹も空いてきた。1時間20分のトライで諦める。後で水を持ってもう一度出直そう。
帰り道も一時間もかかるのか。腹減ったなあと思いながら坂を下ると、帰りは近く30分で宿まで戻ってしまった。距離にしたら2kmくらいだったのか。部屋に戻り、昨夜ヴァンサンにもらったマンダリンを食べると染みる! みかんってこんなに美味しかったっけ?
お腹が空いたので、メーディーに「何か食べるものない?」と聞くと「ベルベルオムレツはどうですか。40ディラハムです」とのこと。それは食べてみよう。
中庭のテーブルに腰掛け、オムレツとその前にコカコーラを持ってきてと頼む。wifiがないので、妻のiphoneで日本のおきよしさんにSMSを打ち、目星をつけていたマラケシュの宿の電話番号を調べて欲しいと頼むと、コカコーラが届くより速く返事が返ってきた。日本は午後9時半。ベルベルの時間と日本の時間感覚の違いだ。
さて、午後はもうやることない。夕暮れ時に今度はラクダに乗って砂丘に挑もうか?
Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_7382316.jpg夕方4時半に再びデューンに挑む。北側の一番きれいな尾根沿いに登るのは一番ラクそうだ。しかし、歩いても歩いてもその尾根までたどり着けない。途中、ピンクのターバンを巻いたラクダ使いの少年が近づいてきて「アンモマン、アンモマン」とその場で座り込んで手荷物から化石を広げて売り込みを始める。この辺りは三葉虫の化石で有名なのだ。
歩いても歩いても尾根にはたどり着かない。そのうちに段々西の空に太陽が近づいてきてしまう。しかたないので目の前にそびえ立つ丘陵に真正面からアタックする。尾根になっていないバージンスノーならぬバージンサンドはぬかるみに足を取られるようにスネくらいまで沈んでしまい、なかなか先に進めない。それでも、そこまで沈むので急斜面でも転げ落ちることなく登ることが出来る。何度も息を切らし、休みを取りながら、メインの尾根に繋がる別の尾根の上までようやくたどり着いた。Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_7392461.jpgあと15分ほどで日が沈む。日が沈むまでのデューンの色の変化は何度見ても飽きることがない。朝型は白っちゃけていた砂、午後はオレンジ色、日暮れの前は黄金色に染まり、また日暮れ直前に濃いオレンジ色に戻る。そして日が暮れた瞬間から青白く染まっていくのだ。5時半に日が暮れると、全くの無音状態になる。風の音もしない。車の音もしない。遠くのアラブ人観光客親子のはしゃぐ声だけが聞こえる。僕達は毎年のように砂漠に来ている。熱帯の海には数年行ってないのに。無音を楽しんでいると急激に気温が下がり始めたので、帰路につく。午前中の往復で帰り道は30分ほどとわかっているが、日が暮れるとランドマークになるものを見失いやすい。バギーの残したUターンの轍やラクダの集まっている場所、他のオーベルジュの外壁、電信柱などを頼りに宿にたどり着くともう真っ暗だ。空には二日月と金星。
夕食の前に暖炉のあるサロンに入り、アッツアイをいただき、フランソワーズと話をする。フランソワーズの三人の息子達はモロッコに残りそれぞれ仕事をしている。彼女はブルターニュの出身で、僕のインドの友人マリーノエルもブルターニュかノルマンディーの出身だった。異国に住み着きオーベルジュを開くなんて僕達は思いも寄らない人生を歩んでいる。
Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_740862.jpg夕食はなんとモロッコワインが用意されていた。Cuvee Presidentというカサブランカ近郊の赤ワイン。なんとフルボトルで120ディラハム1200円。料理はモロッコの前菜四種。焼きナス、焼きナスのペースト、トマトの和え物、そしてクルジェとシトロンコンフィの和え物。前菜だけでお腹いっぱいになりそうだ。メインは素焼きのタジン鍋で調理された鶏肉とジャガイモのタジン、ショウガ味。付け合わせにトマトやピーマンととともに炊き込んだご飯がついたので、結構な量を食べてしまった。デザートはムース・オ・ショコラ。これだけの夕食、朝食が込みで一人300ディラハム=3000円とは良心的な値段設定だ。
 食後は再びフランソワーズと暖炉の側で歓談。モロッコを訪れるのはこれが6度目となるが、なかなかモロッコ人とは直接的に深い友人にはなれない。外国人にとってこの国を旅行する事とは居心地の良い宿を周り、その多くはフランス人経営で、そのホスト達のホスピタリティーに出会い、その周辺で暮らす半分フランス的なモロッコ人達と交流を深める事なのかもしれない。フランス語だけでなく、もしアラビア語が出来たならそれこそ全く違う旅の体験が出来るのだろうが....。すると普段行っているインドやトルコの旅もヒンディー語、トルコ語が出来るならまたまた違う旅になるのだろうが、そこまではなかなか手が回らない。
Maroc 12, Merzouga, Stay in Auberge Ksar Sania_c0008520_7404658.jpgワインも一瓶開けてしまい、夜10時半に部屋に戻る。空を見上げると満天の星空。三脚を取りだし、シャッター開放で星空の写真を撮ると、身体が数分で冷え込んでしまう。部屋は煉瓦作りではなく伝統的な泥作り。そのためか昼涼しく、夜暖かい。電灯を消すともちろん真っ暗、そして無音、今日もあっという間に寝込んでしまう。
朝、4時に妻のiphoneが鳴る。日本からの緊急電話だった。SMSを使って何度かやりとりをする。もう一件、昨日に頼んでおいたマラケシュの宿の件もSMSが届いている。この宿ではインターネットは繋がらないが、携帯は繋がる。ということはモロッコの砂漠はフジロックフェスの会場や福島県の漠原人村よりも進んでいるということか?
用を済ますとすっかり目が覚めてしまったが、まだまだ真っ暗なので外に一歩出てみる。夜空の星を撮影していると、宿の夜警のオヤジが何事かと見回りに来る。こんな僻地だが夜警は必要なのだろう。撮影後再び就寝。

by salamunagami | 2011-01-11 07:41 | エキゾ旅行  

<< Maroc 13, Tea i... Maroc 11, Goodb... >>