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Books written by Indians

Books written by Indians_c0008520_19454426.jpg タルヴィン・シンの98年のデビュー作「OK」がリマスター&リミックス集の二枚組で再発されたので、久々に聞き直す昨今、インド人の書いた本を続けて二冊読んだ。
 一冊はサイモン・シンの「暗号解読」。以前読んだ彼の出世作「フェルマーの最終定理」もそうだったが、難しい事を平易な言葉で説明する文章が上手すぎる。量子コンピューターを使った暗号の仕組みが典型的な文系のオレにもわかる言葉で書いてあるんだからスゴイ。一回読んだだけでは消化しきれないので、読み終わった側からもう一度頭から読み直している。
 もう一冊は実家の母親から送られてきたアラヴィンド・アディガのデビュー作「グローバリズム出づる処の殺人者より」。なんとブッカー賞08年度受賞作。 スラムドッグ$ミリオネアの原作ヴィカス・スワラップの「ぼくと1ルピーの神様」はインド映画にもよくある「こんな話ありえないよ!」と言いたくなる漫画のような出来すぎた話だが、こちらは現在の拝金原理主義のインドで実際にあったとしてもおかしくない新中間層の話。主人公は北インドの小村の農家に生まれ、農業を放り出し、地主のダメ息子のお抱え運転手になり、ダメ息子を殺して手に入れたお金を元に、ITに沸くバンガロールで成功した起業家。インドの新中間層の闇と光の描写とそれを常に醒めた目で見つめる主人公がカミュというかドストエフスキーというか...。
「高すぎて話にならんよ。お前の代わりなんか幾らでもいるんだよ! あっち行け!」とオレに罵倒されるタクシードライバーの気持ちが初めてわかったような....。

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

グローバリズム出づる処の殺人者より

by salamunagami | 2009-11-20 19:46 | エキゾな日常  

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