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安東ウメ子さんがお亡くなりになりました

c0008520_3284752.jpg アイヌ文化伝承者・安東ウメ子さんが、15日午前10時、お亡くなりになりました。お悔やみ申し上げます。
僕がウメ子さんのウポポに出会ったのは丁度10年前で、WAVE六本木にいた頃です。釧路に住む妻の両親が 北海道幕別町教育委員会で制作されたウメ子さんの最初のアルバム「安東ウメ子・ムックリの世界」を僕宛に送ってくれたのが 最初です。白黒ジャケでロウファイないかにも教育委員会らしいジャケに映るアイヌ美人が気になり早速聞いてみると、川や 森のフィールド録音にまじってアイヌの口琴ムックリが「ビヨ〜ン、ビヨ〜ン」と鳴っていて、一応曲名はあるのですが 全部同じに聞こえ、どれがどの曲だか本人もわかってないのではと推測しつつ、人生の重みを感じるようなムックリの深い音色に シビレ何度もリピートしてしまいました。でももっと驚いたのは後半のウポポでした。アイヌの歌ですね。日本の民謡ともベルカントとも アザーンとも違う不思議で間が抜けた発声、独自の美学に貫かれた歌だったんですよ。「ホオイ、ハアア、ハ〜ウ、ホイ」と今でも歌えます。 ピグミーの歌に似てるけど、熱帯じゃないしね。これはWAVEで世界中のCDを聞いていたオレもビックリ。会社に持っていって 当時の同僚のchari chariやらロス・アプソンの山辺さんやらカフェアプレミディ・セレソンの武田さんやらに聞かせて自慢しまくった覚えがあります。 六本木WAVEの三階は発売したてのCDJプレイヤーがあって、二枚音を重ねることが出来たので、ウメ子さんとオーブとか一緒にかけて お客さんに「コレなんですか?」と聞かれたこともあります。あまりに評判がいいから一度幕別町教育委員会に電話して「まとめて注文してお店で売りたいんですが」 と言ったら、教育委員会らしく非常に邪険に扱われた覚えがあります。一応当時六本木WAVEって言ったら、HMVとかタワーの渋谷は既に開店してたけど 日本で有数のレコード屋だったからね。1000枚くらい売れたかもしれないのに役所仕事&無知とは怖いもんだよね。

c0008520_329159.jpg そんなわけでそれから数年後、フリーのライターとなったオレの所にウメ子さんやOKIさんをマネージメントするチカルスタジオのTさんが突然連絡してきて「ウメ子さんってご存じですか?」と 言われて、「ご存じも何も空で歌えるよウポポ!」ってな塩梅で、ウメ子さんの新作「イフンケ」と再会を果たしたワケです。その後お台場の元TLGで生のウメ子さんのウポポを聴き、あまりに 独自のリズム感、発声、それに存在感にもビビリました。日本にも(彼女は国籍は日本人ですが、人種はアイヌ)こんな特別な歌手がいるんだと、生まれて初めて国内の音楽の生演奏で心を動かされました。 昨年末に恵比寿で行われた「ウポポサンケ」のプロモーション・ライヴでも数曲生の歌が聴け、最前列に座った僕は質問をしたのですが、すっとんきょうに答えてくれたのが非常に思い出深いです。 今年の頭の浅草のライブはインドにいたため、行けなかったのが今となってはとても残念です。

c0008520_3294711.jpg 最近になってグラスルーツのQちゃんがお店でかけまくって高円寺アンダーグラウンドに浸透し始めたり、ロス・アプソンの山辺さんが秘かに楽しげな計画を考えていたり、スマーフ男組のコンピューマがパリコレのDJでプレイしてフランスで 聞かれまくったりと、新しい展開がこれから生まれるかもって矢先だったのに......

c0008520_330862.jpg OKIさんにインタビューしたとき、ウメ子さんのことを「非常に音楽的に厳しい人だ」と言っていたので本当はそうなんでしょうが、僕にはあんなに無意識過剰な歌声・歌手は今後の日本から出てくるとは思えないので、非常に残念です。ご冥福を祈ります。
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by salamunagami | 2004-07-15 03:28 | エキゾ音楽