人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Maroc 14, Across the Kasba Route

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_8422237.jpg僕のiphoneがなぜかモロッコで使えない。妻のiphoneは二つもキャリアが見つかったのに、僕のは見つけてくれないのだ。だからというわけではないが、その時間設定がイスタンブールのままになっていて、今朝はアラームで朝6時に起きたつもりが、午前4時に起きてしまった。服を着替えてからはじめて気づいた。それでも既に4時間も寝ていたので、疲れは取れている。もう一度服を着替え布団に入るが、そのまま寝付けずに朝6時を迎えた。外は摂氏ゼロ度以下だろう。三脚を立て、夜明け前の空を撮影していると、今日も夜警のアニキに声をかけられた。
今日はサハラを後にし、西へと8時間のバス移動だ。朝7時までに荷物を詰め終え、サロンで朝食。フランソワーズに宿代を払い、それでもまだ出発まで時間があるので、サロンに飾られている様々な絵画の説明を受けて、7時45分にフランソワーズの運転するジープに乗ってメルズーガの町に。
5分かからずにスープラトゥールの営業所に到着。そこで「今度は友達を連れてきますよ。15年もかからずにまた来ます」と言ってフランソワーズと別れる。クサールサニア、値段も格安だし、居心地も良いし、料理も美味いので、また訪れたい。今度訪れる頃には亡くなった主人ジェラールの面影、思い出、亡霊は消えているだろうか? 

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_8425840.jpgメルズーガの町は、朝8時前だというのに、胡散臭いガイ達がたむろっている。砂漠の最果ての町、無職のガイ達がギラギラしているのだ。服装も都会の若者とは全然違う。百合子はもう一日滞在して、メルズーガの町に遊びにくれば良かったと言い出す。確かにこんなヒリヒリとした感覚は今のモロッコの他の町ではもはや味わえない。

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_8455286.jpg8時過ぎに5人の外国人、5人ほどのモロッコ人を乗せ、バスは出発。そのまま30分置きくらいに停車し、リッサニ、エルフード、エルラシディア、グールミナ、ティネジダッドと停まる。15年前は町とは言えないようなボロボロの集落だったのに、今ではどこにでもwifiの飛んでいるカフェがあって、それなりおしゃれな若者がいる。町と町を繋ぐ途中の道は相変わらず火星や月の表面のような世界が広がっているというのに。出発時は凍えるほどに寒かった車内、陽が昇るに連れ、冷房が必要なほど暑くなってきた。
午後1時にティネリール着。ティネリールでバスの外に降りると、「ニホンジンですか? トウキョウ、オオサカ?」と見るからに品のない若者が話しかけてくる。「オレはお前が生まれる前からこの国に来ているんだ。学校に行って、もっときれいな日本語を勉強しろ」と釘を刺す。

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_8433038.jpgティナリールを出た後、2時前に道の駅で20分休憩。遠くに見えるオートアトラス山脈の山頂は雪をかぶっていた。他の山は全て赤いのにそこだけ富士山のように真っ白だ。そこで大して美味くもないケフタ(羊のハンバーグ)のサンドイッチを食べた。そう言えば、フランスに留学していたとき、家の近くのお店McKhaled(マクドナルドではなくマクハレド)で週に二回くらいこのサンドイッチを食べていた。
ダデス谷、薔薇の谷を経て、夕方4時過ぎにワルザザートの町に入るが、いつのまにか町が大きく広がっていて、どこから町に入ったのかまったくわからない。新しい建物、多くはマンションのようだが、伝統的な赤茶色で、きちんと町に溶け込んでいる。だが、22年前、15年前に何度も歩いた道を見失ってしまうほど町が広がっている。
四年前に大石始夫妻と到着したガル・ルーティエールからタクシーに乗り、予約しておいたホテルibisに行く。二週間もリヤドやオーベルジュが続いたので、しばらくぶりに多国籍チェーンホテルに泊まりたくなったのだ。

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_8465914.jpgこの町のibisは例によって町外れにあり、窓を開けると下にプールがあり、塀の向こうにはワルザザートのタウリルトカスバが見える。部屋は案の定あまり広くはないが、風呂場まで照明が明るい。自分の顔を明るい鏡で見るのは本当に久しぶりだ。イスタンブールでもフェズでもタンジェでもメルズーガでも風呂場は真っ暗だったから。砂漠の砂や旧市街の埃を毎日吸い込んできたせいか、鼻毛の伸びが尋常じゃない。無精ひげは当然、眉毛も繋がりかけていた。
インターネットも二日間繋がらなかったので、メールが大量にたまっていた。それを見る前にまずは夕方の町に出かけよう。

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_847225.jpgワルザザートはこれが四度目。22年前、15年前、4年前、そして今回。以前は町の中心の安宿に泊まり、カスバまで歩いてきたことがあったので、町の中心まで歩いていけると思ったら、道が色々と舗装されて、その間も建物で埋まり、自分が何処に居るのか全くわからなくなっていた。この町で迷うなんて思いも寄らなかったのでガイドブックも持たずに出てしまった。しばらく迷って、タクシーに乗り、先ほど降りたガル・ルーティエールへ行く。その辺りが町の中心だったはずだ。22年前はバス停の前は未舗装で、ぬかるみの中に木造の肉屋屋台があって、そこで羊に挽肉を1kg買って、隣の屋台でケフタを焼いてもらい、一緒だったドイツ人カップルと泥道の上で食事をしたのだ。その時泊まったホテルはどこだっけ? ビールの買えるミニスーパーマーケットがあったはず? と歩き回るが、全く見知らぬ新しい舗装道路ばかりで行けども行けども知っている道にたどり着かない。1時間ほど歩き回り、バス移動のせいもあって、疲れてきたのと、日が暮れたので、タクシーに乗りホテルまで戻る。以前の旅の良い思い出に無為に浸れば、新たな旅にとって弊害になるのだ。
ホテルのフロントにあった地図を見ると、ガル・ルーティエールの位置が僕の知っていた場所から移動したらしく、町の中心から西に1kmくらいの場所をほっつき歩いていたのだ。しかし、もう一回外出する気にはなれない。日記も書いていないし、何よりも疲れている。部屋に戻り、コイルヒーターでお湯をわかし、日本から持ってきたハラムフード「チキンラーメン」を食べよう。マンダリンも1kg6ディラハム=60円で買い込んだ。ズボンやカーディガンは砂漠の砂臭いので、明日到着した宿で洗濯を頼もう。熱々のシャワーを水の使いすぎを気にせずたっぷり使おう。たまっていた日記もブログやfacebookにアップしないと。部屋に戻りマックに向かうと、いつのまにか夜10時になっていた。

Maroc 14, Across the Kasba Route_c0008520_8523650.jpgシャワーを浴び、メールを見ると、この後に泊まる幾つかの宿から、「その日程は空いていない」、「駅まで迎えに行くので到着時間を教えて欲しい」、「Tripadvisorに日本語の感想を書いてくれ」などと幾つかの返事が来ていた。それに対して急いで返信する。
DesertJazzのDさんも書かれていたが、2011年現在、旅はTripadvisor中心に動いていて、そこで評価の高い宿はどんな僻地だろうが、値段が安かろうが高かろうが、二〜三ヶ月前には予約で埋まってしまう。「宿は予約なしで行くもの」なんてのはもはや過去の浪漫でしかない。そして、地球の歩き方よりもguide de routardよりもlonely planetよりもrough guideよりも、現地のホテルに置いてあるフリーペーパー最新号や現地版Timeoutマガジンを買うほうがよっぽどしっかりした町情報が手に入る。

by salamunagami | 2011-01-11 08:49 | エキゾ旅行  

<< Maroc 15, From ... Maroc 13, Tea i... >>